月別: 9月 2022

TOCの窓 NO.136 やる気は作業興奮の原理で

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 やる気を持たせるために、ピグマリオン効果とか「褒めて伸ばす教育」が叫ばれて久しい。ただ、女性セブンの調査結果(散髪屋さんで読みました( ´∀` ))によれば「努力の大切さを伝える」「最後までやり抜くことの大切さを伝える」という項目は9割以上の保護者が実践するものの、子どもの学力に大きな差はみられなかったそうだ。一方、「テレビ・ビデオ・DVDを見たり、聞いたりする時間などのルールを決めている」「テレビゲームやスマホのゲームをする時間を限定している」という家庭ほど、子どもの学力が高くなる傾向が顕著だったという。

 「小学生には時間の使い方を教えることが有効」と指摘する教師は多い。ただ、「最後までやり抜く」「努力は大切」などの抽象的な道徳論は、自我が育っておらず判断力が未熟な小学生や中学生低学年が聞いても具体的に何をしたらよいのか分かりにくいため、成果につながりにくい。つまり、より具体的な時間の使い方を教えてそれをしっかりと習慣づけていくことが大切ということなのだが、そのために効果的なのは ‟声掛け” よりも『時間の管理』だ。 

 脳科学の視点から見ると、人間の ‟やる気″ はいくら他人から声をかけられたとしても、自分で行動を起こさなければ絶対に出てこないという。無理やりにでも手を動かし始めると、脳内から神経伝達物質のドーパミンやアセチルコリンが分泌されて,徐々に気持ちが乗ってくる。おっくうだった掃除でもやり始めると熱中して、止まらなくなることを心理学用語で『作業興奮』というが、それと同じ原理だ。

 だからスマホやゲームや外遊びも、制限時間内で終わらせ門限を決める等のルールを作り、後は鉛筆を握らせて机に向かわせることが重要だ。最初は嫌々でも次第に熱中してくるはずで、これを定着させていく。自由放任教育で失敗するとしたら原因は案外こんなところにあり、小学校低学年で身につけておくべき姿勢だった。だが気が付いた時から修正は十分していける。まずやってみる。座って読んで絵をかいて手を動かし始める。

 実は、春以降けっこう忙しく伸ばし伸ばしになっていたこの「TOCの窓」も、まずPCに向かって短いものから書き始めたらすぐ終わってしまった。

やっぱり『作業興奮』ですね(笑)。

じゃあ、また。

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